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臨床試験の概要

直腸癌術後の腹腔ドレーンの留置意義に関する研究

 近年の直腸癌手術の技術進歩に伴い、肛門に近い腫瘍でも永久人工肛門を回避できるようになってきました。しかしながら、肛門近傍で吻合を行う場合には縫合不全が大きな問題となってきます。縫合不全が発生した際に重篤な合併症を防ぐ目的で一時的な人工肛門を作成する傾向が高まってきています。一時的な人工肛門を作成した際は術後のドレーン留置の意義が少ないのではないか、という議論があります。ドレーン留置には疼痛も伴うことから、ドレーン留置の意義の検討が必要と考えています。一定の基準を満たした場合はドレーンを留置しない方法を採択し、術後の疼痛や術後の経過を前向きに検討しています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成26年7月7日承認:第1443号)

切除不能進行・再発食道癌症例に対するドセタキセル/シスプラチン/S-1隔日投与(modified DCS)療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験

 残念ながら切除できない食道癌の患者さんや再発をきたした患者さんにできるだけ、効果的でかつ、副作用が少ないと思われる抗癌剤治療を行っております。具体的にはドセタキセルとシスプラチンの2剤の注射にTS-1という飲み薬を組み合わせて行います。食道癌にこの抗癌剤の組み合わせた臨床データがありませんので、現在安全性と有効性を検討しています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成26年5月27日承認:第1425号)

標準療法不応膵癌に対するTS-1隔日投与法併用新規ペプチドワクチン療法(第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験)

 この研究では、新しい膵癌の免疫療法の開発をめざして、標準的な抗がん剤治療で効果の無い、あるいは副作用のため継続困難な患者さまで HLAの遺伝子型がA*24またはA*02の方を対象として、がん細胞およびがんの新生血管に認められるタンパク質由来の6種のペプチドを用いた がんワクチン療法の安全性と有効性について検討します。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成26年5月26日承認:第1434号)

結腸癌に対する腹腔鏡補助下大腸切除術時の小切開創の部位に関する検討—無作為化臨床試験—

 腹腔鏡下大腸切除術は、多くの臨床試験(経験)により従来の開腹手術に比べ術中出血量が少なく、手術侵襲が軽減でき、術後の疼痛が明らかに少なく、早い社会復帰が可能となることが判明しました。また、その手術手順も確立され、従来の開腹手術と同等のリンパ節郭清(がんの根治性)が可能となり、その長期予後にも差がないことが証明されてきました。腹腔鏡下大腸切除の利点の1つとして、切開創が小さく、美容上あるいは機能上のメリットがあります。腹腔鏡による大腸切除時には切除した病変を取り出すために、腹壁を小さく切開(5cm程度)する必要があります。しかし、未だ腹壁のどの位置を小切開するか、一定の見解はありません。本研究では、手術後の傷の状態や痛みの程度などを比較することで、腹腔鏡による大腸切除時の小切開創の部位は何所が適切かを検討することを目的としています。本研究の結果が判明すると、腹腔鏡による大腸切除術を受けられる場合に、病変を取り出す創が術後の経過が良好な位置に決定されると考えます。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成26年4月14日:第1398号)

Gemcitabineを1次治療とする局所進行及び転移性膵癌に対する新規ペプチドワクチン療法(第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験)

 この研究では、新しい膵癌の免疫療法の開発をめざして、手術ができない進行した未治療のすい臓がん患者さまで HLAの遺伝子型がA*24またはA*02の方を対象として、がん細胞およびがんの新生血管に認められるタンパク質由来の6種のペプチドを用いた がんワクチン療法の安全性と有効性について検討します。ペプチドワクチンには抗がん剤Gemcitabine(ゲムシタビン)を併用して治療を開始します。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成26年3月11日承認:第1389号)

食道癌患者における術前強化リハビリプログラムの有効性に関する介入研究

 食道癌患者に対する根治的食道切除術は手術侵襲が大きく、他の消化器癌手術と比較しても術後合併症、特に呼吸器合併症の頻度が高い。また、進行食道癌では術前化学療法や術前化学放射線療法が施行される症例が増加しており、長期入院や副作用に伴う術前の身体機能の低下が、術後合併症の発生に関連する可能性がある。近年、食道癌の周術期管理において、リハビリテーションの介入は、術後合併症の減少に寄与していると考えられているが、有効性を報告しているものは限られている。そこで、術前の身体機能を客観的な指標を用いて評価すると共に、術前強化リハビリプログラムの有用性を検討しています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成25年11月25日承認:第1320号)

標準療法不応の進行・再発食道癌に対する新規腫瘍抗原と腫瘍新生血管関連遺伝子由来ペプチドを用いた新規ペプチドワクチン療法(第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験)

 この研究では、新しい食道がん免疫療法の開発を目指して、他に有効な治療法のない進行した食道がんの患者さまでHLAの遺伝子型がA*24またはA*02の方を対象として食道癌および食道癌の新生血管に特異的に発現するタンパク質由来のペプチド4種類を用いたがんワクチン療法の安全性と有効性を検証します。本研究は当院をチーフに全国多施設共同研究として実施されています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成25年8月26日承認:第1282号)

da Vinci S Surgical Systemを用いたロボット支援下低位前方切除術の安全性と有用性の検討

 ロボット支援手術は従来の腹腔鏡手術の欠点を補完する新たな低侵襲手術として注目されています。腹腔鏡手術と比べて優れている点としては、(1) 拡大された鮮明な高解像度の3 次元視野、(2)先端が人間の手指や手首の動きを模写する極めて自由度の高い鉗子により腹腔鏡手術用の鉗子ではなし得なかった複雑な手術手技の遂行が可能などが挙げられます。内視鏡手術支援ロボットの使用により難易度の高い術式の技術的困難性を軽減できる可能性が示唆され、特に直腸がん外科切除の根幹である直腸間膜全切除(TME:がんの根治性を担保するために必須)と骨盤内自律神経の温存がより確実,容易になり、術後の排尿および性機能の回復、がんの根治性において優位であることが期待されます。

 本研究ではこのロボット支援下低位前方切除術の安全性および有用性について検討することを目的としています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成25年8月13日:第1295号)

胸部食道癌切除術後におけるランジオロール塩酸塩の心房細動抑制効果に関する第III相プラセボ対照二重盲検比較試験

 食道癌の手術後には高頻度に心房細動などの頻脈性不整脈が発症します。心房細動を発症した患者さんは、その後、重篤な合併症を引き起こす可能性があることが、私達のこれまでの研究で分かってきました。そこで手術後に不整脈治療薬であるランジオロール塩酸塩を3日間使用することで、食道癌術後の不整脈をおさえて、さらに全体の合併症が減少するか否かを無作為化比較試験で検討中です。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成25年4月1日承認:第1235号)

胃癌に対する胃全摘における予防的胆嚢摘出の有用性に関する第III相試験

 胃癌に対する胃全摘の際に術後胆嚢炎を発症することがあるので、予防的に胆嚢摘出を付加することがあります。しかし、本当に胆嚢を摘出する方がいいのか、摘出しない方がいいのかははっきりしません。これまでは、その病院、各先生方の判断で行ってきました。そこで胃全摘の際に胆嚢摘出が有用か否かを検討するため、現在無作為化比較試験を行っております。

(和歌山県立医科大学倫理委員会  平成23年8月8日承認:第986号)

進行・再発食道癌に対する新規癌関連抗原遺伝子由来エピトープ
ペプチドを用いた腫瘍特異的ワクチン療法(第I/II相臨床試験)

 この研究では、新しい食道がん免疫療法の開発をめざして、他に有効な治療法のない進行した食道がんの患者さまでHLAの遺伝子型がA*2402の方を対象として食道癌に特異的に認められる2種類のタンパク質由来のペプチドを用いたがんワクチン療法の安全性と有効性を検証します。また食道癌に対する免疫力がどのくらい高まったかも同時に検討します。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成18年8月18日承認:第409号)

切除不能進行再発膵癌に対する腫瘍新生血管を標的としたHLA-A*
2402拘束性エピトープペプチドとgemcitabine併用による第I相臨床試験

 この研究では手術ができない進行した膵臓がん患者さまでHLAの遺伝子型がA*2402の方を対象としてがんの新生栄養血管に認められるタンパク質由来のペプチドを用いたがんワクチン療法に、現在膵臓がんの標準的な抗癌剤であるジェムザールによる化学療法を併用する新しいがんワクチン化学療法の安全性と有効性を検証します。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成18年8月18日承認:第408号)

膵頭十二指腸切除術における全胃温存に関する研究

 胃の出口にある幽門輪という筋肉の輪が胃からの流出を調節しています。しかし、手術によって神経が切れてしまうことで十分な働きをすることができません。そこで、幽門輪温存膵頭十二指腸切除術における胃排泄遅延を改善するため、幽門輪の意義を検討しています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成17年8月19日承認:第302号)

膵腸吻合における膵管チューブの挿入法に関する臨床研究

 膵頭部切除術の合併症の中で、最も難渋するのは膵腸吻合部から膵液が漏れ出す膵液瘻です。膵液瘻を減少させるため、さまざまな工夫が世界中でされています。わたしたちも以前から膵管チューブを使用していますが、膵管チューブをどのように挿入するとメリットがあるか否かを無作為化比較試験で検討中です。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成16年12月24日承認:第301号)

栄養調整食(インパクトR)の臨床研究――給与量の検討――

 「インパクトR」は、手術の前後など特別の栄養管理が必要な患者さんのために、発売された栄養食品です。この栄養食品は、ヨーロッパやアメリカでは10年以上前から、手術を受ける患者さんや重症のやけどや事故により大けがをした患者さんの栄養補助に使われ、肺炎などの感染症にかかりにくい、あるいは入院期間が短くなるなどの効果が確認されています。

 また「インパクトR」をある程度摂取することにより、炎症反応を抑えたり、体の抵抗力(免疫力)を高め、細菌などの感染などにかかりにくくすることが期待されています。

 しかし、わが国では本当に術後の免疫力を高め、感染症に罹りにくくなるのか、まだ1日にどれくらい飲むのが最も良いのかも明確ではありません、この試験は、摂取量とその効果を明らかにすることを目的としています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成15年5月1日承認:第196号)

直腸切断術後会陰創感染に対する術前抗菌薬による腸管前処置の効果
-無作為化臨床試験-

 腹会陰式直腸切断術後の会陰創の感染率は、大腸内には創感染を引き起こすような多数の常在細菌が生息しており、それらの菌で術野が汚染される可能性が高いこと、リンパ節郭清や拡大切除を行うと骨盤腔が死腔となることから10?60%(平均40%)とかなり感染率が高くなります。また、会陰創の感染は術後の入院期間の延長や、退院後の創痛、さらにはQOLをも損ないかねません。したがって、大腸の手術前には大腸内をきれいにしておくことが必要ですが、経口抗菌薬により腸内細菌を抑制すると腸内細菌叢が変化し、術後に使用する抗菌薬が効きにくい菌が術野感染症の起因菌として検出されることが多くなり、経口腸管洗浄剤などで機械的な腸管内洗浄が主流として行われてきました。しかし、最近では、術前日に短期間に抗菌薬を投与すると、耐性菌の増加を促すことなく、術後創感染症の発症を抑制できるとの報告もあります。ただし、実際に術前経口抗菌薬の投与が直腸切断術後の会陰創の感染発症阻止にどれだけ寄与するか明らかではありません。

 この臨床試験は術前抗菌薬の投与がどれだけ会陰創の感染発症を阻止できるか検討することを目的としています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成15年1月17日承認:第181号)

中等度侵襲術後の脂肪乳剤併用末梢静脈栄養法の有用性
-中心静脈栄養法との比較試験-

 手術後の栄養管理法として高カロリー輸液を使用する中心静脈栄養法と末梢栄養輸液を使用する末梢静脈栄養法があります。中心静脈栄養法は、中心静脈カテーテル挿入時の合併症や栄養管理時のカテーテルによる感染症などの合併症が少なからず発生します。一方末梢静脈栄養法では滲透圧の関係から投与できるカロリーが基礎代謝量から算出する理想値よりも少なく、1週間以上絶食を必要とする場合には適しませんが、脂肪を静脈に点滴できるようにした脂肪乳剤は単位質量あたりの熱量が糖やアミノ酸に比べ倍以上あり、滲透圧の心配もなく、末梢静脈栄養時のカロリーの補給には有用です。脂肪乳剤は体内での利用速度がおそく高脂血症を将来しやすいこと、また、免疫系への影響から手術後早期の使用は躊躇されてきたが、投与速度を守ることにより、このような副作用は防止できることが解ってきました。そこで、1週間以上絶食の必要な消化器疾患の手術後に、脂肪乳剤を併用した末梢静脈栄養を行い、術後の栄養学的指標および術後早期の活動度などを評価して、糖とアミノ酸による中心静脈輸液と比較し、実際にその有用性を比較検討することを目的としています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成15年1月17日承認:第180号)

幽門輪温存膵頭十二指腸切除術における再建方法の検討

 膵頭部を切除する場合、わたしたちの施設では、術後の食事や栄養改善のため、全胃を温存する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を第1選択としていますが、合併症のひとつに胃排泄遅延、すなわち、手術の後、胃から腸へ胃液や食物が移動せず、胃液を抜くためのチューブが1週間以上必要であったり、2週間後も全く固形物が食べられなかったりすることがあります。そこで、胃排泄遅延改善のため、手術をうけていただく方にご協力いただき、十二指腸とつなぐ小腸を1)結腸の前または2)結腸の後ろで行うことを無作為に割付けました。その結果、結腸の後ろでは50%も発生したのが、結腸の前では5%と手術後の胃排泄遅延が有意に少なく、入院期間も短く済むことが明らかとなりました。以上の結果はアメリカの外科雑誌であるAnnals of Surgeryに掲載される予定です。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成14年4月19日承認:第149号)

腹腔鏡下胆嚢摘出術におけるドレーン留置の意義について

 従来の胆石症の治療は、開腹して胆嚢を摘出していましたが、現在はそのほとんどが腹腔鏡で手術されるようになりました。多くの施設で、その腹腔鏡手術の術後に万が一胆汁が漏出したり、出血があった際のインフォーメションとして最低2日間は腹腔内に排液チューブを挿入してきました。しかし、実際術後に胆汁が漏出したり出血することは極まれで、チューブの挿入はかえって術後疼痛を亢進させるだけではないか、との考え方もあり、術後に①チューブを入れる手術と②入れない症例を無作為に割り付けて検討しました。その結果、チューブを入れることで強い痛みが誘発され、かえって術後の感染を惹起することが判明しました。この結果はにより、腹腔鏡下胆嚢摘出術では、通常ドレーンを留置しない様にしています。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成14年4月19日承認:第144号)

肝細胞癌治療後の生存率および再発に関するインターフェロン単独療法 / インターフェロン+リバビリン併用療法の有効性の検討

 肝細胞癌の治療は肝機能が良ければ切除が一番と考えられますが、残念ながら完全に切除できても、術後1年で約25%、3年で50%の症例で再発が起こります。その原因はC型肝炎に代表されるウイルスが考えられています。事実、術後にインターフェロン療法を実施しその早期再発が抑制できたとする報告があり、我々はさらに、肝細胞癌の発生母地となるウイルス性肝炎においてその投与法が確立している抗ウイルス剤をインターフェロンに併用することにより、その再発抑制効果を検討することにしました。 しかしながら、術後は貧血や血小板減少症例が多く、一定期間の抗ウイルス薬の投与ができないなどの問題があり、リバビリン投与は中止しています。C型肝炎抑制に向けて今後さらなる検討を加える予定です。

(和歌山県立医科大学倫理委員会 平成14年1月18日承認:第129号)